ねこふみ

にがわらいのひび

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アイマス1時間SS企画」参加SS

使用テーマ:「選ぶ」


「これと……それからこれをお願いします」

右から左、左から右へと真剣なまなざしで品定めをしていた雪歩が、何を買うか決めたらしい。

店員がお茶をケースに詰め始めると、そのまなざしはいつものやわらかな雰囲気を取り戻していた。

「あ、律子さん。偶然ですね」

ふと、顔を上げた彼女と目があった。

「偶然、ね。雪歩。……何をそんなに熱心に選んでいたの」

今まで近くで見ていたのに、こんなことを聞いてわざとらしくなかっただろうか。

「その、事務所に置いてあったお茶、そろそろなくなるかなって、それで」

給湯室にあるお茶は、いつも雪歩が買ってきてくれていた。

最近は仕事で忙しく、事務所に来ないことも多い。

それでも給湯室のお茶のことなんかを気にかけているなんて、雪歩らしい。私は自分がここに来た目的も忘れて、その嬉しさに浸る。

「ああ、ありがとうね雪歩」

「はい、あ、いいえ、そんな……」

「そんなたいしたことしてない?いいえ、少なくとも私はうれしいし、事務所のみんなも喜んでくれるはずよ」

「は、はい」

そういってほほ笑む。この事務所の、いや全国のアイドル随一の微笑み、それが見られただけで満足。ここで話を切り上げて帰ろうかな、なんて思っていた矢先の彼女の問い。

「律子さんは何を買いに来たんですか。よかったら私もいっしょに探します」

「え、いいのよ。仕事だってあるでしょう?」

「この後はお仕事もないし大丈夫です。それにお茶のことだったら少しは役に立てるかもしれないし」

「そうね、じゃあ、いっしょに選んでくれる」

「はいっ」




上から下、下から上へと真剣な面持ちで視線を走らせる。

お茶好きの女の子に、プレゼント用に、日ごろの感謝と忙しい毎日のなぐさめになるように。雪歩と選びながら話した内容をまとめると、こうなる。

「うーん、むずかしいです」

真剣さより少し困ったような表情になった雪歩が言った。

「わたし、優柔不断でなかなか選べなくて、いっしょに探そうなんて迷惑じゃ」

「優柔不断でもいいのよ」

穴でも掘りそうな勢いの言葉に割り込む。

「あ、えっ」

「だって、それだけ真剣に選んだってことじゃない。それは確かなことでしょ」

「はい。そう……ですね」

「そうそう。いっしょに選んでくれてありがとう、雪歩」

「はい」

そしてまたあの笑顔。

たっぷりと迷って選んで、私たちは買い物を終えた。




律子さんへ

いつもありがとうございます。ほんの気持ちですけど、よかったら飲んでみて下さい。

おいしくて、疲れた体にも良いみたいです。

“事務所の給湯室用”のお茶セットにはそんな手紙が添えられていた。




雪歩へ

あなたのおかげで、とてもよいお茶を買えました。

たまには私がお茶を用意するのも悪くないでしょう。気に入ってくれたら嬉しい。

雪歩へ手紙を添えて、“お茶好きの女の子へのプレゼント用に、日ごろの感謝と忙しい毎日のなぐさめになるように”買ったお茶を送った。




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あふひねこ

Author:あふひねこ
アイマスとか書く。百合?

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『アイマス』スピンアウト4コマ『ぷちます!』

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